果物・果樹 の育て方 / 読みもの図鑑
カキの育て方|甘柿・渋柿の選び方と剪定・摘果
庭で長く付き合うカキは、苗を植える前の品種と場所選びが大切です。甘柿・渋柿、品種ごとの受粉、枝先の花芽、摘蕾・摘果と収穫を整理します。

BOTANICAL NOTE
カキの基本図鑑

- 植物のタイプ
- カキノキ科の落葉果樹。将来の樹冠と、剪定・収穫に使う通路を確保して育てます。
- 苗と品種
- 品種名の分かる接ぎ木苗を選び、甘渋の性質、熟期、地域適性、受粉の条件を確認します。
- 甘渋の違い
- 完全甘柿、不完全甘柿、渋柿で食べるまでの条件が異なります。色づきだけで渋みは判断できません。
- 受粉
- 受粉による安定結実が重要な品種も、単為結果しやすい品種もあります。甘柿・渋柿の区別だけで決めません。
- 実が付く枝
- 前年枝の先端寄りの芽から伸びる当年枝に結実。枝先をすべて刈る剪定を避けます。
- 収穫後
- 品種と用途に応じて生食・脱渋・加工を選びます。渋柿は収穫直後の生食を前提にしません。
YEAR GUIDE
カキの年間栽培カレンダー
関東地方以西の鉢植えを中心とする一般的な目安です。甘柿・渋柿と品種による成熟差を確認します。
表は左右にスクロールできます。●は期間の目安、—はこの表で期間を示さない月です。
| 作業 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 苗木の植え付け2〜3月。根を乾かさない | — | ● | ● | — | — | — | — | — | — | — | — | — |
| 冬の剪定1〜2月。花芽の位置を確認 | ● | ● | — | — | — | — | — | — | — | — | — | — |
| 果実の収穫10〜11月を中心に、品種別に | — | — | — | — | — | — | — | — | — | ● | ● | — |
収穫帯は代表的な品種の範囲で、早生の刀根早生などは9月から、富有は11月〜12月初旬という例もあります。品種の成熟時期を優先し、甘柿・渋柿の食べ方や脱渋を混同しません。
新しく苗を植えた年の収穫を予定する表ではありません。冬の剪定は残す結果母枝を見て行い、枝先をすべて切る管理にはしません。寒冷地は凍結・乾燥と芽吹きの時期を確認します。
月別表は「いつ」、次の既存4カードは「作業のコツ・株の状態による判断」を示します。
2026年10月22日確認:KINCHO園芸「かき(鉢植え)」 / 奈良県「カキづくりのポイント」 / JA静岡市「果樹剪定時期」。資料の期間を月単位で整理しました。
季節・生育段階ごとの作業のコツ
上の月別表で時期を確認したら、次の4項目を手がかりに、実際の株の状態から作業を判断します。
日本の温暖地の家庭栽培を中心にした目安です。品種ごとの熟期と、甘渋・受粉の性質を優先します。寒冷地は凍結と甘柿の地域適性、暖地は高温と乾燥を確認し、作業日は実際の開花・結実・落葉に合わせます。
- 落葉期|植え付けと枝選び厳しい凍結を避け、地域の適期に苗を植えます。冬剪定は混み合う枝の間引きを中心に、先端寄りの芽を残します。
- 冬〜春|剪定から開花の準備へ休眠期に混み枝を間引き、先端寄りの芽を残します。春は樹勢に応じた摘蕾と、品種に合う受粉の準備へ進みます。
- 初夏〜夏|摘果と水管理生理落果の推移と実の傷みを見て、葉量に合う実数へ調整します。鉢や植え付け直後の水切れも点検します。
- 秋|熟期に収穫品種に合う色と熟度で収穫。渋柿は適した脱渋・加工へ進めます。葉と枝を観察し、冬の剪定用に記録を残します。
育てる前に確認すること
- 難易度
- 中級。庭植えを中心に、将来の樹冠と手入れの高さを考えます。
- 品種
- 甘柿・渋柿、脱渋の要否、地域適性、受粉の必要性を確認した接ぎ木苗。
- 枝の性質
- 前年枝の先端寄りの芽から伸びた当年枝に花が付きます。枝先の一律刈り込みに注意。
- 鉢との相性
- 根と樹冠の管理が必要。コンパクトなベランダ果樹として安易には勧めません。
日本の家庭栽培を想定した目安です。地域・品種・鉢や庭の条件、実際の天候に合わせて調整してください。
GUIDE 01
甘柿か渋柿か、食べるまでの手間も選ぶ
カキは品種によって、甘柿か渋柿か、収穫後に脱渋が必要か、育ちやすい地域や熟期が異なります。庭に植えた後で品種を変えるのは簡単ではないため、食べ方と地域適性を苗選びの段階で確かめましょう。初心者は品種名の明記された接ぎ木苗を選ぶと、性質を調べながら育てられます。
- 完全甘柿種子に関係なく自然脱渋する性質
- 不完全甘柿種子の入り方で渋みが残る場合
- 渋柿脱渋や加工を計画して育てる
種から育てた株は、親と同じ実になるとも、一定の年数で必ず収穫できるとも限りません。「柿八年」という言葉を収穫保証として受け取らないでください。
甘柿でも品種と熟度を確かめ、渋柿は収穫直後にそのまま食べることを前提にしません。脱渋や加工は品種に合う方法を別途確認します。
甘柿の中にも違いがあります。完全甘柿は種子の有無に関係なく自然に渋が抜ける性質ですが、適した気温で成熟することが必要です。不完全甘柿では種子が多く入ると渋が抜けやすく、種子が少ない部分に渋みが残る場合があります。
「甘柿の苗」とだけ書かれていたら、正式な品種名まで確認しましょう。
農研機構は、完全甘柿でも夏秋の気温が低い地域では渋みが残ることを説明しています。苗の耐寒性だけを見て、果実がその土地でおいしく熟すかを判断しないでください。
渋柿を選ぶ場合も、干し柿にする場所や脱渋の手間を先に考えます。食べ切れる量と加工できる環境を含めて選ぶと、収穫後に困りにくくなります。
GUIDE 02
受粉樹は、すべての品種に同じように必要ではない
カキの結実性は品種で違います。「富有」では受粉が安定した結実に役立ちますが、すべての品種へ一律に2本植えを求める説明は適切ではありません。
千葉県の栽培情報では「次郎」「平核無」で人工授粉を行わない管理が示されています。買う苗の品種名で受粉の条件を確認してください。
- 品種名甘渋と結実性を別々に確認
- 花粉の供給受粉樹と開花期を確認
- 実際の結実落果と樹勢を観察する
受粉樹を置く場合は、成長後の2本分の広さも考えます。実が落ちるときも、受粉だけが原因とは限りません。
樹の若さ、実の付けすぎ、水分、害虫の被害などを併せて観察し、前年の結実や作業を記録しましょう。1年の結果だけで品種の性質を決めつけないことが大切です。
受粉は、実が付くことと渋が抜けることの両方に関係する場合があります。とくに不完全甘柿では種子の入り方が甘渋に影響するため、結実したから準備が十分だったとは限りません。千葉県の資料では西村早生や単為結果性の弱い伊豆の人工受粉を重視しており、品種名を基準に管理を分けています。
一方、農研機構の麗玉の説明では、単為結果力が高く受粉樹を周囲に植えなくても早期落果が少ない性質が示されています。これは麗玉の特徴で、他の甘柿すべてに当てはまる説明ではありません。
また受粉樹が不要な品種でも、近くに花粉源があれば種子が入る場合があります。「一本植え」と「必ず種なし」は同じ意味ではありません。
GUIDE 03
将来の高さと枝の広がりを先に考える
カキは直立しやすく、大木になりやすい果樹です。日当たりと排水だけでなく、隣地との境界、建物との距離、剪定と収穫の通路を確保します。
高くなってから太い枝を一度に切って戻す計画より、幼木のうちから手が届く範囲で育てる樹形を考えます。高い場所での無理な作業が必要になる場所は避けましょう。
- 広がり建物と隣地との距離
- 作業剪定と収穫の安全な動線
- 根元雨の後の排水を点検
鉢で育てる場合も、幹枝の勢いと根の量を管理する必要があります。小さなベランダに置いてほとんど手をかけず実を採る用途には向きません。
庭の土が雨の後に長くぬかるむなら、植え付け前に排水を見直します。根を伸ばす場所が限られるため、近くの構造物や他の樹木との関係も確認してください。
小さな庭では、苗を植えられる隙間があることと、成木を管理できることを分けて考えます。剪定した枝を持ち出す通路、収穫用の容器を置く場所、落ちた実を拾える足元が必要です。実が付いた枝を道路や隣地へ伸ばす計画にせず、幼木の段階から管理する範囲を決めます。
樹高を抑えたい場合も、毎年枝先を刈り込むだけでは花芽を減らし、強い枝の発生を招くことがあります。まず骨格となる枝の向きと配置を考え、無理な高さになる前に地域の樹形の案内を確認しましょう。高い木へ登って収穫することを前提とせず、地上から安全に行える作業の範囲で育てます。
GUIDE 04
落葉期の植え付けは、寒さに合わせて調整する
地域の植え付け例は11月下旬〜12月、または2〜3月です。寒冷地では春植えを地域の苗販売店に確認し、凍結の厳しい時期を避けます。
接ぎ木苗は接ぎ木部を埋めず、根を無理に曲げたり強く傷めたりしないように植えます。植え付け後は十分に給水し、必要なら苗が動かないように支えます。
- 苗の深さ接ぎ木部を埋めない
- 根の周囲給水して土を落ち着かせる
- 支え揺れと結束の食い込みを点検
根付くまでの水分は特に気を配ります。庭植えも植えた直後は雨任せにせず、鉢は土の乾きに応じて給水します。冬に落葉していても根まで完全に乾燥させてよいわけではありません。
肥料は用土の状態と製品表示、株の生長に合わせ、弱った苗へ多く与えて回復させようとしないでください。
苗を植える日は、土が凍っていたり水がたまっていたりしないかを確認します。根を納めるための穴を確保し、無理に小さな穴へ折り曲げて押し込みません。
接ぎ木の位置と元の根元を見て植え、給水で土が落ち着いた後に深さを再確認します。支柱へ結ぶ場合も、幹が太る余裕を残します。
庭植えでも根付くまでの乾燥は見逃せません。雨が降ったかだけでなく、根鉢の周囲まで湿ったかを見ます。冬は葉がなくても、長い乾燥が続く場合は土を確認してください。
肥料で早く成木にしようとせず、新しい根と枝葉の動きを見ながら育てます。植え付け直後の弱りに、追加の肥料を重ねないようにします。
GUIDE 05
枝先を全部切ると、花芽まで減らしてしまう
カキは前年枝の先端寄りの芽から伸びる当年枝に花を付けます。外形を丸く整えるために枝先をすべて刈り込むと、実を付ける準備がある芽を失うことがあります。冬剪定は混み合う枝の間引きを中心に、残す枝の位置と勢いを見ながら行います。
- 前年枝先端寄りの芽を確認
- 混み枝不要な枝を選んで間引く
- 翌春残した芽から伸びる枝を見る
強い直立枝や重なり合う枝を整理する際も、一度に樹冠を大きく失わせないようにします。幼木では将来の骨格を育て、成木では光と風が内側へ届くよう枝を選びます。切る前に前年の枝と今年の枝を見分け、実が付いた位置の写真を残すと次の冬に役立ちます。
剪定前は、前年に伸びた枝を先端から根元へたどります。花につながる芽を残すためには、どの枝を短くするかだけでなく、どの枝を丸ごと間引くかを考える必要があります。枯れ枝、内側へ向く枝、重なった枝を先に見つけると、残す枝の配置が分かりやすくなります。
枝先を全部同じ高さへそろえないでください。
太い枝を切ればすぐに扱いやすい木になるとは限りません。大きな切除の後に強い枝が出て、かえって混み合う場合もあります。
樹が大きくなり過ぎている場合は、一度に形を変える前に段階的な管理を相談しましょう。冬の剪定だけで整えようとせず、春夏の不要な芽や枝の観察も組み合わせます。
GUIDE 06
春の摘蕾と夏の摘果で、実の負担を調整する
春は花が開く前のつぼみの数や位置を見て摘蕾し、初夏〜夏には実の付き方を見て摘果します。樹勢や葉量に対して実が多すぎないようにする管理で、すべての樹へ同じ個数を当てはめるものではありません。若い樹や弱った樹では、収穫より枝葉を育てることを優先する場合もあります。
- 開花前つぼみの位置と樹勢を見る
- 結実後落果の推移と傷みを確認
- 摘果葉量に合う負担に整える
生理落果は自然に起こることがありますが、落ちた実を見ずに「生理落果だから問題ない」と済ませるのも避けます。受粉条件、着果過多、水切れや過湿、果実の傷や虫害を順に確認しましょう。落下した実を残さず片付け、時期と状態を記録すると原因を相談しやすくなります。
摘蕾は花が咲く前に負担を減らす作業、摘果は結実後に実を選ぶ作業です。先に摘蕾をしたから夏の点検が不要になるわけではありません。残した実の数と枝葉の勢いを見て調整します。
資料にある一枝当たりの数も、枝の強さや樹の状態が前提です。小さな幼木へ成木と同じ数を残さないでください。
落果が続くときは、落ちた実の形や傷も見ます。受粉、着果の負担、水分、害虫など、確認する項目を分けると原因を整理しやすくなります。
急に肥料を増やしたり残りの実を全部取ったりする前に、落ち始めた日と天気、残っている葉の状態を記録します。地面の実を片付けることも、次の異常を見つける助けになります。
GUIDE 07
品種の熟期に収穫し、葉と実の異常も点検する
収穫時期は品種ごとに異なります。色、熟度、品種の目安を確認して採り、枝を無理に引っ張らないようにします。甘柿と渋柿を混同せず、渋柿は脱渋や加工を前提に扱います。
収穫後も葉が残る期間は樹の状態を見守り、落葉期に向けて水分や枝の状態を確認します。
- 品種と熟期色だけで判断しない
- 甘渋の性質必要な脱渋・加工を選ぶ
- 傷み傷のある実を分けて扱う
カキノヘタムシ、炭そ病、落葉病などに注意して、葉や果実の傷み、早い落葉、落果を観察します。症状だけで薬剤を断定せず、地域の情報や相談先で確認してください。使用する農薬はカキへの現行登録とラベルを確かめ、収穫前日数や成分の総使用回数を含めて守ります。
収穫前に、渋柿用と甘柿用の容器を分け、品種のラベルを付けておくと取り違えを防げます。色が十分に付いた渋柿も、そのまま甘柿と同じように食べられるとは限りません。不完全甘柿の果肉に見られる褐色の斑点と、傷みや腐敗も同じものとして扱わず、品種の性質と果実の状態を合わせて確認します。
脱渋や干し柿づくりは、収穫した実の状態と品種に合う方法を別途確かめます。ここでは濃度や日数を一律に指定しません。
傷んだ果実を保存・加工用の健全な実と混ぜず、作業前に選別します。収穫後の樹も放置せず、早い落葉や枝の枯れがないかを見て、翌年の枝選びに役立つ記録を残しましょう。
季節の作業を見渡す
温暖地の露地栽培を中心にした流れの目安です。寒冷地・高冷地・暖地、品種や栽培目的で変わります。種袋や苗の地域別表示を優先してください。
- 落葉期
- 地域に合わせて植え付け。花芽を残す枝選びと混み枝整理。
- 春
- 品種の受粉条件を確認。樹勢に応じた摘蕾。
- 初夏〜夏
- 生理落果と虫害を区別し、必要に応じて摘果。
- 秋
- 品種の熟期に収穫。渋柿は脱渋・加工の準備。
よくある質問
カキは必ず2本必要ですか?
品種によって異なります。富有では受粉が安定結実に役立つ一方、人工授粉を行わない管理が示される品種もあります。
枝を短くそろえてよいですか?
先端寄りに翌年の花へつながる芽があるため、一律の刈り込みは避けます。混み枝を選んで整理します。
種から8年で収穫できますか?
一定年数での結実や親と同じ果実は保証できません。品種の性質を把握して育てるなら接ぎ木苗が分かりやすい方法です。
参考資料・編集について
編集確認日:2026年10月20日。以下の栽培資料を参考に家庭向けに整理しました。海外資料の月別日程や耐寒性は日本全国の保証として扱っていません。収穫量や結実を保証する記事ではありません。
本記事の水彩挿絵には生成AIを利用しています。実際の栽培写真ではありません。本文の図解は作業前の確認や判断の流れを示す模式図です。
今回確認した資料と適用範囲
奈良県で結果習性と間引き剪定、千葉県令和6年5月資料で品種別の受粉管理を確認。農研機構で甘渋分類と地域条件、麗玉の単為結果性を確認しました。試験地の収穫日・果重を家庭での保証値にせず、古い薬剤情報を転用していません。









