ハーブ の育て方 / 読みもの図鑑
レモングラスの育て方|鉢植えの夏管理・収穫・冬越し
夏には大きく育つレモングラスも、冬は置き場が大切です。苗選び、鉢の水分、葉と茎元の収穫、室内越冬、春の株分けを季節に沿って紹介します。

BOTANICAL NOTE
レモングラスの基本図鑑

- 学名・分類
- Cymbopogon citratus。イネ科の多年草です。料理用のレモングラスを対象とし、シトロネラグラスやレモンバームとは区別します。
- 株の姿
- 細長い葉が束になって広がります。鉢の直径だけでなく、伸びた葉が通路や隣の鉢に触れない空間を確保します。
- 好む環境
- 暖かい日なたと、水もち・水はけを両立した土。日本では冷え込みに備えて、運べる鉢で育てる方法が取り組みやすい選択です。
- スタート
- 食用栽培用の苗・株分け苗を選びます。苗のラベルを保管し、購入時の管理条件から屋外へ少しずつ慣らします。
- 収穫する部分
- 葉と肥大した茎元を使い分けます。根付いた十分な大きさの株から外側を少量取り、中心と翌年に残す株を守ります。
- 冬の管理
- 霜と低温を避け、明るい場所で保護。屋外栽培を続ける温度と、生育を抑えて冬を越す温度は同じ意味ではありません。
YEAR GUIDE
レモングラスの年間栽培カレンダー
温暖地の苗からの栽培を基本にした目安です。春の植え付けは霜が終わり十分に暖かくなってから行います。
表は左右にスクロールできます。●は期間の目安、—はこの表で期間を示さない月です。
| 作業 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 苗の植え付け資料の目安3月下旬〜4月。霜を避ける | — | — | ● | ● | — | — | — | — | — | — | — | — |
| 葉の収穫6〜10月。十分に茂ってから | — | — | — | — | — | ● | ● | ● | ● | ● | — | — |
春の月表示だけを見て寒い屋外へ植えません。晩霜のある地域は遅らせ、苗の販売時期と実際の気温を優先します。種まきや株分けからの育苗とは分けています。
葉が30cm程度に伸びた充実株から収穫します。寒さに弱いため、秋は低温になる前に鉢で室内管理へ移す準備をします。露地のままで日本全国越冬できる表ではありません。
月別表は「いつ」、次の既存4カードは「作業のコツ・株の状態による判断」を示します。
2026年10月22日確認:KINCHO園芸「レモングラス」 / KINCHO園芸「レモングラスの育て方」。資料の期間を月単位で整理しました。
季節・生育段階ごとの作業のコツ
上の月別表で時期を確認したら、次の4項目を手がかりに、実際の株の状態から作業を判断します。
日本の温暖地で、夏は屋外・冬は保護する鉢栽培を想定した作業順です。寒冷地・高冷地は屋外期間が短く、暖地でも夜間の冷え込みに注意します。品種・苗の販売元の案内と実際の気温を優先し、英国の月別日程を日本の全国共通日程には置き換えません。
春|苗・株の準備冬越し株の新芽を確認し、必要なら株分け。日本の温暖地でも寒の戻りがある間は、カレンダーの月だけで屋外へ移しません。
初夏〜夏|植え付けと生育霜の心配がなく暖かくなってから植え付け。根付いた株は水分を確認し、外側の育った葉や茎を少量ずつ使います。
秋|収穫量を調整し取り込む気温が下がったら生育を観察。夜温が7℃を下回る前に保護するRHSの目安を参考に、鉢の移動と置き場所を早めに準備します。
冬|明るい場所で株を保つ余裕をもって7℃以上を保つ管理を基本に、水分は土の乾きに応じて控えめに。収穫を続けるより、春に残す株の状態を優先します。
GUIDE 01
苗と越冬場所を、先に用意する

レモングラスは長い葉を束のように伸ばす植物です。この記事では Cymbopogon citratus を扱います。
似た名前のシトロネラグラスや、丸い葉のレモンバーム、別種のレモングラスを同じ植物として扱わず、食用栽培用の苗と植物名を確認しましょう。初めてなら苗や株分け苗を使う流れが分かりやすくなります。
暖かい季節には大きく育つので、購入時の小さな姿だけで置き場所を決めないことが大切です。日なたの夏の置き場に加え、寒くなったときに鉢を運べるか、明るい越冬場所があるかを考えます。狭い通路へ葉が張り出すと触れやすいため、動線にも余裕を取りましょう。
スーパーの食用茎からの再生栽培を、初心者の基本ルートにはしていません。
小さな苗の先にある置き場所を考える
最初は一鉢から始めると、夏にどれくらい水が減り、秋にどれくらい葉が張り出すかを把握できます。苗売り場で見る姿と、暖かい場所で数か月育った姿は違います。
窓辺へ取り込む計画なら、窓までの経路、扉の幅、鉢を置く台の安定も確認しておきましょう。葉を束ねなければ通れないほど狭い場所では、日々の手入れも難しくなります。
苗を選ぶときは、植物名だけでなく株元と葉裏も見ます。枯れた葉が一本あることだけで良否を決めず、新しい葉が出ているか、株がぐらついていないか、異常な斑点が広がっていないかを合わせて確認します。判断できない症状があれば購入前に販売店へ尋ねると、家庭へ持ち帰ってから原因を探す負担を減らせます。
GUIDE 02
十分暖かくなってから植え付ける

屋外へ出す時期は、霜の心配がなく十分暖かくなってからです。月だけで判断せず、地域の最低気温や苗の管理状況を確かめてください。
日当たりがよく暖かい場所に置き、水もちと排水を両立した用土を使います。底穴のある鉢へ、株元を深く埋めすぎないよう植え、根付くまでは乾かし切らないようにします。
鉢は根鉢より一回り大きいものを出発点に、成長に応じて鉢増しします。小鉢のまま大株を維持しようとすると、水切れや転倒、根詰まりにつながります。
庭植えでも将来の広がりを考え、冬に掘り上げて保護する必要がある地域では、その作業ができる場所を選びます。元肥入りの培養土へ重ねて施肥する前に、製品表示を確認しましょう。
植え付けは、土の高さと水の通り道をそろえる
作業前に新しい鉢と培養土を用意し、苗を抜いたまま長く放置しないようにします。鉢底穴がふさがっていないかを確かめ、元の根鉢の上面が深く沈まない高さへ置きます。
縁いっぱいまで土を盛らず、水やりの水が一度たまって土へしみ込む余地も残しましょう。植えた後は鉢底から余分な水が抜けることを確認します。
屋内管理だった苗を、購入した翌日から強い日差しと風にさらすのは避けます。最初は様子を見られる時間に屋外へ置き、葉の傷みがないかを確認しながら環境を変えます。
暖かい日が一日続いたことと、夜も安定して暖かいことは別です。植え付け後の数日は天気予報だけでなく、苗を置く場所の冷え方も確かめてください。
GUIDE 03
夏は水、冬は温度を中心に考える

夏の生育期は葉がよく伸び、鉢の水も減りやすくなります。用土の湿りをこまめに確認し、乾いてきたら株元へ十分に給水します。
乾燥を好むタイムの管理をそのまま流用しないでください。ただし常に水に浸す必要はなく、受け皿の水をため続けないこと、鉢底から余分な水が抜けることも大切です。
肥料は培養土の元肥と使用する製品の表示に合わせ、生育を見て追肥します。畑の面積当たりの施肥量を家庭の鉢へそのまま換算しないようにします。
寒く低日照になる冬は生育と水の消費が減るため、夏と同じ頻度で与えません。温度、光、土の乾きに応じて給水を控え、冷えた湿った土へ置き続けないようにします。
水を足す前に、土と排水を一組で見る
水やりの回数を先に決めるより、鉢の土を同じ場所で観察する習慣を付けます。葉が茂った鉢は雨が降っても株元へ水が届きにくいことがあり、軒下ではさらに降雨量と鉢の湿りが一致しません。
反対に、土がまだ湿っているのにしおれて見えるときは、追加の水だけで解決しようとせず、排水穴、根詰まり、強風なども点検します。
夏に鉢を持ち上げられる大きさなら、十分に水を与えたときと乾いてきたときの重さの違いも観察の手掛かりになります。ただし重さだけで機械的に判断せず、土の湿りと葉の状態を合わせます。
肥料を使った日は製品名と量を記録し、元肥・液肥・置き肥を重ねすぎないようにします。葉色の変化を見て、すぐに肥料不足と決めないことも大切です。
GUIDE 04
葉と茎元を分けて、少量ずつ収穫
葉と肥大した茎元では使う部分が違います。十分育った株の外側から必要な分だけ収穫し、中心と越冬・株分け用の株を残します。
小さな苗からすべての葉を切ったり、茎元を一度に取り尽くしたりしないでください。茎を採るときも株全体を引き抜くのではなく、残す部分を確認して作業します。
葉の縁は鋭いので、手袋とハサミを使い、素手で強く引っ張らないようにします。顔や腕に葉先が当たらない姿勢も大切です。
収穫後は傷んだ部分や異物を取り除き、用途に合わせて扱います。香りがあることを理由に、健康効果や安全性を保証する説明はしません。株が弱っているときや冬は収穫を控えましょう。

使う分と、次に伸ばす分を分ける
収穫前には、今日使うのが葉なのか茎元なのかを決めます。葉の利用だけが目的なら、茎元まで抜き取る必要はありません。
茎元を使う場合は、外側の十分育った部分を選び、どの部分を残すか先に見ておきます。手袋をしていても葉の縁を握って引き抜く作業は避け、清潔な道具で周囲の株を傷めないようにします。
収穫後は中心の新葉の動きと残った葉量を見ます。前回よく伸びたからといって、毎回同じ量を取れるとは限りません。特に秋は気温と日照が変わり、回復を待つ時間も長くなります。
料理に使う量が株の生長を上回るなら、収穫間隔を空けるか、その季節の利用量を減らすほうが、弱った株に肥料を増やして追いつかせるより判断しやすくなります。
GUIDE 05
霜の前に、明るい室内へ移す

レモングラスは寒さに弱いため、霜が降りてから考えるのでは遅くなります。RHSは夜温が7℃を下回る前の取り込みと、7℃以上の明るい場所を案内しています。
このページでは初心者向けに、夜温が7℃前後へ下がる前に準備し、余裕をもって7℃以上を保つ方法を基本にします。暗く冷たい玄関が、必ず適した越冬場所とは限りません。
宮崎県の試験マニュアルには、鉢上げして最低気温5℃以上で越冬する方法が示されています。ただし地域の試験条件を全国の家庭へそのまま当てはめるものではなく、5℃まで下がっても必ず安全という保証ではありません。
室内でも窓際の夜間の冷え込みを確かめ、土の乾きを見て控えめに給水します。地上部が傷んだだけでは根や株元が無事か分からないため、春の芽の動きも確認します。
室内へ入れた後も、夜の温度を測る
取り込み先は「室内」という名前だけで決めず、日中の明るさと夜明け前の冷え方を確認します。暖房を止めた部屋や窓ガラスの近くは、日中との温度差が大きくなることがあります。葉がガラスへ触れない位置へ置き、冷気が流れ込む場所を避けます。
一方で暖房の風を直接当てると乾き方が変わるため、鉢の置き場所を変えた後は土も見直しましょう。
取り込む前には葉裏と株元を観察し、枯れ葉や落ちた葉を整理します。室内の他の植物にも近づけすぎず、変化を見やすくしておくと安心です。
越冬場所を確保できない場合は、無理に低温へ置き続けるより、その年の収穫で一区切りにして翌春に苗から始める選択もあります。多年草という分類は、どの家庭でも同じ株を残せる保証ではありません。
GUIDE 06
大きな株は、春に根と茎を付けて分ける

冬を越した株は、春に十分暖かくなってから状態を確認し、必要なら株分けします。それぞれに十分な根と茎が付くまとまりを残して分け、植え直した後は根付くまで収穫を急ぎません。室内で冬を越した株を急に強い日差しへ長時間出さず、気温と株の状態を見ながら屋外の環境へ慣らしましょう。
葉にさび状の斑点や細かなかすれがあるときは、さび病やハダニなども念頭に葉裏まで観察します。傷んだ葉の整理、通風と水分の見直しを行い、異常が広がる場合は地域の園芸店などへ相談します。
薬剤はレモングラスへの適用を確認してください。香りの強い植物でも、病害虫が発生しないとはいえません。
株分け後は、収穫より根付きの確認を優先
株を抜いて分ける前に、新しい鉢と土、作業場所を用意します。細かく数を増やすことを目的にせず、それぞれに根としっかりした茎が残るまとまりを選びます。根のない葉束だけを植えて同じように育つと考えないようにしましょう。
大株で刃物の扱いが難しい場合は無理をせず、販売店などへ作業方法を相談できます。
植え直した株は、新しい葉が動くか、土が極端に乾いたり湿ったままになったりしていないかを見ます。元の大株と分けたばかりの小株では、水の消費も収穫に回せる葉量も違います。
複数鉢へ分けたらラベルを付け、同じ日でも鉢ごとに確認しましょう。斑点が増えるときは写真と発生時期を残し、単なる古葉の傷みなのか、広がる異常なのかを区別して相談します。
よくある質問
庭に植えたまま冬を越せますか?
地域や微気候で条件が大きく変わります。全国共通の露地越冬を勧めず、寒くなる前に鉢上げして保護できる計画を立てます。
夏も乾かし気味がよいですか?
生育期の鉢は水切れしやすいので用土をこまめに見ます。タイムの乾燥管理と同じにせず、適度な水分と排水を両立します。
葉が枯れても春に必ず戻りますか?
必ず戻るとは限りません。低温で株元や根も傷むことがあるため、予防的に保護し、春の芽と株の状態を確認します。
参考資料・編集について
編集確認日:2026年10月22日。宮崎県の試験マニュアルとRHSの栽培ガイドを確認し、家庭の鉢栽培へ整理しました。地域試験の数値や英国の暦を、日本全国の保証として扱っていません。
本文の植物・作業の水彩挿絵とカレンダーの作業アイコンはAIで制作したイメージです。実際の栽培写真、実験結果、病害虫の診断画像ではありません。形・寸法・作業手順を厳密に示すものではなく、本文と種苗の表示を優先してください。






