害虫の見分けと対策 / 暮らしの園芸図鑑

アオムシ対策の基本|葉の食害を確かめ、防虫ネットで予防する

キャベツやブロッコリーの葉に穴が増えたら、葉裏と芯の周りを点検します。主にモンシロチョウの幼虫を対象に、似た食害との違いとネットの使い方を整理します。

アオムシと菜園を描いた水彩イラスト
AIで制作した説明用の挿絵です。実際の被害写真ではなく、姿や食べ跡だけで原因を確定するための画像ではありません。

アオムシ対策の前に確認すること

扱う範囲
キャベツ・ブロッコリー・カブなどアブラナ科で見られる、主にモンシロチョウの幼虫。農薬の対象を緑の幼虫全般へ広げる意味ではありません。
見る順序
株全体、新しい食べ跡のある葉、その葉裏と葉脈、芯の周り、隣の株の順に見ます。
同定の限界
穴、糞、緑色、飛んでいたチョウのどれか一つだけでは確定できません。幼虫の写真と作物名を一組にします。
初期の対処
少数なら株を傷めない除去と周辺の再点検。虫を見つける前に葉を大量に切らず、残す葉と新芽を確かめます。
予防の確認
ネットは卵や幼虫の持ち込み、裾の隙間、開閉、葉との接触も点検します。被覆後の見回りを省きません。
作業後の目印
古い穴は残ります。新しい穴、幼虫の残存、新葉の育ちを、同じ株・葉で比較します。

食べ跡から次の観察を選ぶ

この表は種類を確定する診断表ではありません。複数の虫が同じ株にいる場合もあり、現物と新しい被害を一緒に確認します。

今の状態確認する場所次の行動
穴だけが見える葉裏、葉脈、芯の周囲現物を探して写真を残す
緑の幼虫がいる体の様子と食べられた植物緑色だけで種類を決めない
白く透けた葉と幼虫の集まり隣の葉にも集団があるかヨトウムシ類も候補にする
ネット内で新しい食害持ち込み、隙間、開閉の履歴幼虫の確認と資材点検を行う
除去後も穴がある前と同じ穴か、新しい傷か古い傷だけで追加処理しない
新しい被害が広がる虫体、範囲、これまでの処置資料をそろえて相談する

GUIDE 01

この記事のアオムシは、主にモンシロチョウの幼虫

アブラナ科の食害を考える説明用の絵です。実物の色や模様を同定する写真ではありません。
アブラナ科の食害を考える説明用の絵です。実物の色や模様を同定する写真ではありません。

日常語の『青虫』は緑の幼虫全般を指すことがありますが、ここではキャベツやブロッコリーなどのアブラナ科で見られる、主にモンシロチョウの幼虫を扱います。緑色の幼虫をすべて同じ虫と考えると、見回る場所や薬剤の対象を取り違えることがあります。

成長した幼虫はおよそ3cmになるとされますが、若い幼虫はもっと小さく、体長だけでは判断できません。葉脈に沿う緑の体は見落としやすいため、食べられた葉を表裏から見ることが出発点です。見つけた虫と被害葉を同じ記録に残してください。

植物名と虫を一緒に記録する

キャベツで見つけた虫の説明を、そのまま別の植物へ当てはめないでください。同じ菜園でも、アブラナ科以外の作物には別の幼虫が付くことがあります。

相談時には「青い虫」だけでなく、植物の名前、植え付け時期、見つけた葉の位置を添えます。品種名が分からなければ苗ラベルを確認し、分からない部分は推測で埋めないようにします。

写真は全体と近接の二枚を組にする

最初に株全体を撮り、次に幼虫と葉脈が一緒に写る距離で撮ります。小さな虫を無理に指で伸ばしたり、葉から何度も移したりせず、その場で見える範囲を残しましょう。

ピントが合わなかった写真では体の細部を判断できません。画像を拡大して見えない模様を補うのではなく、もう一度明るい場所で観察します。

種類を確定できないときの分岐

食害中の幼虫を確認できても、名前が確定できるとは限りません。少数の除去と記録を先に行い、薬剤の選択は別に考えます。

毛の多い幼虫や見慣れない虫を素手で触ることは避け、作物名と写真を販売店や地域の相談窓口へ伝えてください。この記事の水彩画は、実物と細部を照合する図鑑写真ではありません。

GUIDE 02

穴の形だけでなく、葉裏・糞・芯を順に見る

葉を支えて裏側を確認します。作業後はネットを閉じ直します。
葉を支えて裏側を確認します。作業後はネットを閉じ直します。

まず新しい食べ跡がある葉を探し、その裏、葉脈沿い、芯の周りを確認します。葉に残る糞は幼虫が近くにいる手掛かりですが、糞だけでは種類まで分かりません。葉が重なる部分も一枚ずつ確認し、乱暴に開いて芯を折らないようにします。

コナガの幼虫もアブラナ科を食害し、成熟しても小さめです。ヨトウムシ類では若い幼虫が集まり、葉が白く透けるように食べられる場合があります。ナメクジの食害では粘液の跡が手掛かりになることもあります。

大きな穴が開いたという共通点だけで薬剤を選ばず、現物を確認してください。

白いチョウが畑を飛んだことは点検の合図になりますが、そのチョウがすべての穴を作ったと証明するものではありません。同じ株に複数の害虫がいる場合も考え、対処後に違う食べ跡が増えるときは見直します。

葉を開く前に、被害の広がりを見る

一株の外葉だけか、中心に近い葉にも及ぶか、同じ畝の何株にあるかを先に見ます。葉を一枚ずつ調べる際は、付け根を無理に反らさず、葉の下へ手を添えて裏側を見える角度にします。

結球したキャベツを強くこじ開けると、観察そのものが傷の原因になります。見えない場所は「未確認」として残し、周囲の新しい被害と合わせて判断します。

穴と汚れを同じ意味にしない

葉の欠損、表面の擦れ、糞のような粒、光る筋を別々に記録します。粒がある場所だけを見て終わらず、その上の葉や重なりの裏も調べます。

雨や水やりで手掛かりが流れた場合、見当たらないことだけで害虫がいないとはいえません。ナメクジやヨトウムシ類を疑う手掛かりがあれば、関連記事の観察項目と照らし合わせます。

一度の見回りで見つからない場合

穴のある葉を写真で記録し、次の見回りで同じ場所を比較します。虫を見つけられないまま、株全体へ複数の薬剤を順番に試すことは避けましょう。新しい穴が増えるなら、見る時間や葉の範囲を変えて、実物の確認を続けます。

観察するために夜間へ出る場合も、足元の照明を用意し、雨で滑る場所など危険な条件では無理をしません。

GUIDE 03

少数を見つけた段階で、隣の株まで点検する

見た葉の位置と作業日を記録し、新しい食害を比べます。
見た葉の位置と作業日を記録し、新しい食害を比べます。

幼虫が少ないうちは、葉や生長点を傷めないよう取り除きます。除去した虫を畝の脇へ落とすだけではなく、作物へ戻らないよう処理してください。一匹見つけたら、その株だけで終わらせず、隣の株やネットの端に近い株も見ます。

傷んだ葉をすべて切り落とす必要があるとは限りません。幼虫を除去でき、葉がまだ働いているなら、株に残す量も考えて管理します。小さな苗の芯が被害を受けている場合は、その後の新葉の出方も観察してください。

幼虫の近くに卵や繭のようなものがあっても、色だけで害虫の卵と決めつけません。ほかの生き物が付いている可能性もあるため、分からないものは写真を残して確認します。見つけたものをすべて同じ害虫として一律に処理することは避けてください。

取り除く前に受け皿を用意する

小さな容器などを先に準備し、取り除いた虫を別の株や通路へ落とさない手順にします。葉の裏に隠れた虫を探すために苗を抜いたり、芯を強く引いたりする必要はありません。手袋や道具を使い、葉を支えながら扱います。

終了後は作業した株と隣の株をもう一度見て、落とした虫や見逃した場所がないか確認します。

残す葉の働きと新芽を見る

穴があるという理由だけで、外葉を次々に取り除くことは避けます。虫を除けた葉と、枯れて傷みが進んだ葉を区別し、苗の大きさや残った葉数を見て考えます。

芯の被害は外葉の穴とは分けて記録してください。どの程度回復するかをその場で断定せず、その後に新葉が伸びるかを見ます。食害を受けた日と処置をした日も残しましょう。

除去の成否は次の観察で確かめる

取り除いた数は作業の記録ですが、残っている数の証明にはなりません。翌日以降の無理なく見回れる時点で、前に見た株と隣の株を再確認します。

毎回別の葉だけを見ると、古い穴と新しい被害を取り違えます。写真に葉の位置が分かる目印を含め、幼虫が見えたか、新しい欠損があるかを分けて書いておくと比較しやすくなります。

GUIDE 04

防虫ネットは、掛ける前の点検から始める

網と葉の間隔、裾、出入口を点検します。絵の網目は製品選びの寸法を示しません。
網と葉の間隔、裾、出入口を点検します。絵の網目は製品選びの寸法を示しません。

植え付け後、成虫の侵入・産卵を抑えるためにネットで覆います。ただし、苗にすでに卵や幼虫がいれば、覆うだけでは取り除けません。植え付け前と被覆直前に葉裏を見てから閉じる順序にします。

支柱で網を支え、成長した葉が網に密着しない余裕を持たせます。裾、継ぎ目、支柱の脇と作業用の出入口を確認し、追肥や収穫の後は閉め忘れを点検します。対象害虫に適した製品を選び、アオムシ向けの対策で小さな吸汁害虫まで完全に防げると考えないでください。

覆った後も内側を定期的に見ます。破れがないのに発生した場合は、持ち込み、開けた時間、葉と網の接触などを順に振り返ります。細かい網による温度や通風への影響もあり、ネットを追加して密閉すれば解決というものではありません。

植え付け日から開閉後までを一続きにする

苗を置く前にネットの破れと必要な大きさを確認し、植え付け前の苗の葉裏を見ます。被覆直前にも作物と内側を確かめ、それから裾と出入口を閉じます。

水やり、追肥、収穫で開けた日は、作業の終了と閉鎖の確認を一組にしてください。入口を一か所に決めておくと、毎回どこを点検するかが分かりやすくなります。

葉が育つ分の余裕を残す

張った日に葉と網が離れていても、葉が大きくなれば接触します。葉先だけでなく側面の張り出しも見て、支柱が倒れたり網がたるんだりしていないかを確かめます。

虫の侵入を防ぐために葉を無理に押し込むのではなく、資材の寸法や支え方を見直してください。目合いは対象害虫に合う製品表示を確認し、別の小さな害虫への効果を推測しません。

暑さと内部の観察を忘れない

網が細かくなるほど安心とは限りません。日差しが強い日には、内部の株のしおれ、土の乾湿、通風を合わせて見ます。ネットの中だから水不足や生育不良が起きないということではありません。

密閉したビニールで代用したり、内部を高温にして虫を退治しようとしたりせず、栽培環境を保ちながら侵入経路を減らす使い方にします。

GUIDE 05

薬剤の前に対象を確認し、作業後は新しい穴を見る

登録情報と手元のラベルを照合します。絵は実在製品の表示ではありません。
登録情報と手元のラベルを照合します。絵は実在製品の表示ではありません。

食害が続き物理的な除去で対応できない場合は、作物とアオムシに登録のある農薬を確認します。BT剤も農薬であり、『天然だからどの作物にも何回でも使える』というものではありません。ラベルの使用量、方法、時期、回数を守ります。

アオムシの登録を、コナガやハスモンヨトウへ勝手に読み替えないようにします。害虫が分からないときは虫の写真、作物名、直前の防除内容を用意して相談します。対処後は古い穴が塞がるかではなく、新しい食害と残った幼虫を確認してください。

使用前に作物と製品を特定する

手元の製品名だけでなく登録番号を確認し、現在の登録情報と現物の表示を照合します。キャベツ、ブロッコリーなどの作物名や対象害虫名を、似ているという理由で読み替えません。

収穫予定、購入苗の処理履歴、前回までに使用した製品も準備します。説明が読めない場合や表示の対応が分からない場合は、販売店などへ確認してから判断してください。

一回の作業を記録に残す

使用した日、製品、量や希釈、処理した場所を記録します。商品名を替えても同じ有効成分を含む場合があるため、本剤の回数だけでなく成分の総使用回数も照合します。

家庭用品を混ぜた自作スプレーや、自己判断で薬剤同士を混ぜる方法は勧めません。説明どおりの使用ができない条件なら、その日は無理に散布せず、対処方法を相談します。

追加処理の前に、変化の根拠を確かめる

古い穴が残ることと、食害が続いていることは別です。同じ葉の写真を比較し、新しい欠損があるか、幼虫が残っているか、別の種類が見つかったかを調べます。

被害が増えた場合は、処置した範囲やネットを開けた履歴も見直します。ラベルの使用回数や間隔を超えて追加せず、作業記録と新しい被害の写真を一緒に相談へ持っていきます。

よくある質問

緑の幼虫はすべてモンシロチョウですか?

違います。緑色になる幼虫はほかにもいます。食べられた植物、体の様子、大きさ、行動などを合わせて確認します。

ネットの内側にいたら、ネットは無意味ですか?

被覆前の持ち込みや開閉時の侵入などを確認してください。原因を点検しながら使う資材であり、掛けた後の観察も必要です。

穴の開いた葉は元に戻りますか?

食べられた部分は元どおりに塞がりません。新たな穴が増えなくなったか、新葉が育つかを観察します。

参考資料・編集について

2026年10月22日、タキイ種苗のカブ向けモンシロチョウ解説と、ホウレンソウ向けヨトウムシ類解説を確認し、観察と切り分けを整理しました。作物別の薬剤条件や地域の発生時期を全国共通にはしていません。農薬登録情報は検索入口の確認であり、個別製品の使用を推奨するものではありません。既存の鳥取県リンクは保持していますが、今回モンシロチョウの該当本文は確認できておらず、固有の主張の根拠としていません。

表紙と本文の水彩挿絵はAIで生成した説明用イメージです。実際の被害写真、虫体の同定図、製品ラベルではありません。判断表と観察手順は編集資料であり、実体験や専門家による現物診断を示すものではありません。