害虫の見分けと対策 / 暮らしの園芸図鑑
アブラムシの見分け方と対策|新芽・葉裏の観察から始める
新芽に集まる小虫や葉のべたつきを見つけたら、葉裏と隣の株も確認します。少数のうちの除去、苗・ネットの点検、農薬を検討する際の確認を順に整理します。

アブラムシを見つけたときの観察メモ
- 見る場所
- 新芽、葉裏、茎の先。周囲の鉢も確認。
- 見分け方
- 色だけで決めず、虫の姿・集まり方・いる部位を記録。
- 主な影響
- 吸汁による生育への影響、甘露による汚れなど。
- 症状の注意
- 葉の縮れや変色だけで病気の名前を断定しない。
- 最初の対応
- 株を傷めない範囲で物理的に除去し、再発を観察。
- 薬剤を考える前に
- 作物名・害虫名・使用条件を最新の登録とラベルで確認。
GUIDE 01
まず新芽と葉裏で、虫そのものを確認する
葉が縮れた、茎がべたつく、アリが行き来する。そんな変化を見つけても、その時点でアブラムシと決めず、新芽と葉裏をそっと開いてみます。
柔らかい茎に小さな虫が集まっていれば、虫の姿と付いている場所を写真に残しましょう。葉の表側だけで点検を終えると、巻いた葉の内側の集まりを見落とします。
- 株全体生長が遅い枝・縮れた新芽を探す
- 新芽と葉裏虫の姿と集まり方を記録
- 隣の葉と鉢見落としや新しい発生を確認
アブラムシには複数の種類があり、緑、黄色、黒っぽい色など体色も一定ではありません。有翅の個体もいます。
色の違いを別の対処法へ直結させず、まずアブラムシ類かどうかを確かめます。家庭の写真だけで種類を確定できないときは、作物名と虫の写真を添えて地域の病害虫防除所などへ相談してください。
確認する範囲は被害の大きい株だけではありません。隣の鉢、購入したばかりの苗、同じ種類の植物の新芽も見ます。発生する季節は種類や施設条件で変わるため、春だけの虫と考えず、日々の水やりの際に観察を続けます。
最初は株全体を上から眺め、縮れた新芽や、周囲より生長の遅い枝を探します。そのあと葉を裏返し、虫の集まりがあるかを見ます。
新芽の間は見えにくいので、無理に広げて折らず、明るい場所や拡大して撮った写真で確認します。見つけた虫の大きさや色だけで、すべて同じ種類とは判断しません。
記録するのは、育てている植物、虫がいる部位、集まり方、周囲の葉の状態です。株全体と虫の近くをそれぞれ撮ると、相談するときに位置関係が伝わります。動かない白いものがすべて生きた虫とは限らず、脱皮殻なども混じるため、対象が何かを確かめてから対処します。
一枚に見つかったら、隣の葉、新しく伸びた先端、隣の鉢も順に確認します。植物を傷めるほど葉をこすったり、虫が見えない株まで一斉に強い処置をしたりする必要はありません。
どこに集中しているかが分かれば、まず観察と除去を行う範囲を決められます。苗を新しく持ち込んだ日も記録しておくと、次回の点検に役立ちます。
葉裏に小さな虫がいても、コナジラミなど別の害虫の場合があります。成虫が飛ぶか、どこに集まるか、抜け殻や分泌物があるかを合わせて見ます。細かな種の判別ができないときは、無理に名前を付けず、植物名と写真を添えて園芸店や地域の相談窓口に確認します。
GUIDE 02
吸汁、べたつき、病気を分けて考える
アブラムシは植物の汁を吸い、生育が弱ったり新葉が変形したりする原因になります。排出する甘露で葉がべたつき、その上にすす状の黒い汚れが生じることもあります。穴を開けて葉を食べるアオムシなどとは加害のしかたが異なります。
- 虫の確認生きた虫・脱皮殻・いる部位
- 葉の確認変形・変色・べたつきを別々に記録
- 再確認新葉の生長と虫の増減を比べる
一方、甘露やすす状の汚れはコナジラミなどでも見られます。新葉の変形にも病気や栽培上の問題など複数の原因があります。アリがいることや葉の症状だけでは、原因を確定できません。
白い虫が葉から飛び立つ場合は、コナジラミの記事も参考に虫体を確認しましょう。
アブラムシ類の一部は植物のウイルスを媒介します。虫を減らすことと、すでに感染した植物が治ることは別です。虫を取り除いても強い萎縮や模様が続く場合は、肥料や薬剤を追加する前に症状の写真を用意して相談します。
参考:山梨県:アブラムシ類
被害を判断するときは、虫の数だけでなく、苗の大きさと生長点の状態を見ます。小さな苗の先端へ集中している場合と、十分育った株の一部にいる場合では、影響も取り除ける量も違います。葉を大量に切り落として虫を減らすと、残る葉が少なくなり、株の負担になることがあります。
べたつきや黒い汚れがあれば、上の葉や枝にも虫がいないか調べます。甘露が落ちた場所だけを見ていると、発生している部位を見逃すことがあります。黒い汚れだけでは原因を特定できないため、虫の有無、汚れの位置、広がり方を別々に記録します。
ウイルス病を媒介する種類もいますが、葉が縮れたから必ずウイルス病という意味ではありません。水分や薬剤の影響など、見た目が似る原因もあります。虫を取り除けばウイルス感染まで治るとは考えず、症状が広がる、株の生長が強く止まるなどの場合は、植物名と写真、管理歴をそろえて確認します。
対処後の評価では、傷んだ古い葉が元に戻るかだけを基準にしません。新しく展開する葉や芽が正常に育つか、虫の集まりが再び増えていないかを見ます。原因が複数ある場合もあるため、葉の変化と虫の数を同じ記録欄で混同せず、別々に追うと判断しやすくなります。
GUIDE 03
少数のうちに取り除き、取り残しを見直す
初期に限られた場所で見つけたら、葉を傷めないよう道具や手袋を使って虫を取り除きます。柔らかい苗を強くこすったり、強い水流を当てたりしないことが大切です。葉の一部に密集している場合は、その部分の除去も選択肢ですが、残る葉の数と株の大きさを見て判断してください。
虫の付いた葉を大量に切ればよいとは限りません。小さな苗の葉をほとんど落とすと、株の回復を妨げます。
除去した葉や虫を鉢のそばへ落としたままにせず、周囲へ戻らないよう処理します。株全体に広がっている場合は、無理に葉を取り続けず次の手段を検討します。
作業後は翌日以降も同じ新芽と葉裏を確認します。古い縮れが消えたかより、虫が残っているか、新芽への広がりが止まったかを見ます。日付と発生した株を記録しておくと、飛来し直しているのか、同じ場所で増えているのかを考えやすくなります。

除去する前に、残したい芽と葉の位置を確認します。少数であれば、植物を支えながら取り除き、柔らかい先端をつぶさないようにします。
水を使う場合は、茎を折るほどの強い水流を当てず、鉢の土が必要以上に濡れ続けないようにします。除去のための水と、根へ必要な水やりは分けて考えます。
作業は、虫の多い部分を確認する、株を支える、取り除く、周囲を見直す、の順に行います。切り取った葉や落ちた虫を、そのまま隣の鉢へ移さないよう片付けます。一度に全部を取り切ろうとして新芽を傷めるより、無理のない範囲で行い、その後の再確認につなげます。
再確認では、同じ葉だけでなく新しい芽も見ます。前に撮った写真と比べると、残った虫と、新しく増えた集まりを把握しやすくなります。
すぐ再び増える場合は、葉が密に重なって見落としていないか、隣の株に発生していないかも調べます。効かなかったと決めて同じ処置を強める前に、作業が届いた範囲を確かめます。
株がしおれている、植え付け直後で根付いていない、葉がすでに少ない場合は、強い水流や大量の切り取りを控えます。まず負担の少ない観察と除去を行い、株の状態に応じて次の方法を選びます。物理的な除去でも、すべての株や発生程度に同じ方法が適するとは限りません。
GUIDE 04
苗とネットを点検して、持ち込みと飛来を減らす
植え付ける前に苗の葉裏と生長点を見ます。すでに虫がいる苗をネットの中へ入れると、その後の点検が難しくなることがあります。被覆前の観察と、被覆後の観察を一組にしてください。

ネットは対象に合う目合いを選び、裾、支柱際、継ぎ目、作業用の開口部を確認します。破れがなくても閉じ忘れた出入口は通り道になります。細かい網は通風にも影響するため、暑さや植物の状態を見ながら使いましょう。
周囲の雑草や不要な栽培残さは計画的に整理します。光反射資材などを組み合わせる方法もありますが、一つ置くだけで飛来がなくなるわけではありません。まず苗・隙間・観察の基本を整える方が、家庭菜園では取り組みやすい順序です。
参考:群馬県:病害虫情報
ネットをかける前に、苗の葉裏と先端を確認します。すでに虫がいる株へかけると、内部で増える場合があります。
設置後も裾、継ぎ目、支柱の周り、作業で開けた部分を点検します。網目が細かければ管理が不要になるわけではなく、風通しや温度も同時に見ます。
植物が伸びてネットに触れるようになったら、支柱や被覆の余裕を見直します。葉が押し付けられて観察できない状態を避け、必要なときに内側を見られる構造にします。ネットを開けたあとは閉じ忘れがないか確認し、収穫や水やりの作業手順に点検を組み込むと続けやすくなります。
周辺の雑草や放置した鉢も観察します。ただし、近くの植物をすべて害虫の発生源と決めつけるのではなく、実際に虫がいるかを確認します。
窒素肥料を過剰に与えて柔らかい新芽ばかり増やさないよう、肥料の表示と株の生育も見直します。予防をしていても、定期的に新芽を見る習慣は残します。
家庭での発生は、地域、気温、植物の生育、屋外か室内かで変わります。特定の月を過ぎたら点検を終えるというカレンダーにはせず、新芽が伸びるとき、新しい苗を入れたとき、ネットを外したときを観察のきっかけにします。見つからなかった日も記録すると、次の変化が分かります。
GUIDE 05
増加が続くときは、作物名から農薬を確認する
葉の奥まで広がって物理的に取り切れないときや、新しい寄生が増えるときは、対象作物とアブラムシ類に登録のある製品を確認します。葉裏にいる虫へ届くことは重要ですが、ラベルを超える量をまく理由にはなりません。

使用量・希釈倍数だけでなく、使用方法、収穫前日数、本剤と有効成分の総使用回数を照合します。購入苗で使われた薬剤の履歴も確認対象です。同じ有効成分を含む別商品へ替えても、回数がリセットされるとは限りません。
牛乳、洗剤、酢などを混ぜた自作スプレーは、本記事の対策として勧めません。天然由来かどうかで作物や周辺への安全性は決まらず、食用作物に使う家庭用殺虫剤の流用も避けます。迷う場合は最新の登録情報と製品ラベルを持って販売店や指導機関に確認してください。
製品を選ぶ前に、栽培している作物の正確な名前と、対処したい害虫をそろえます。似た名前の野菜やハーブ、観賞用と食用を自己判断で読み替えないようにします。農薬登録情報提供システムで調べる場合も、製品名だけでなく適用表の作物名、害虫名、使用方法まで確認します。
使う直前には、手元の容器のラベルを読みます。希釈が必要か、そのまま使う製品か、使用量、収穫前の日数、使用回数がそれぞれ違います。
有効成分が同じ別製品を使った履歴も関係する場合があるため、製品を替えれば回数がリセットされるとは考えません。苗の購入前に使われた履歴が分かる場合も記録を残します。
混植の鉢や隣の食用植物へ薬液がかかる可能性がある場合は、その作物にも適用があるかを確認します。風の強い日に周囲へ飛散させないこと、子どもやペットが近づかないようにすることなど、ラベルの安全上の注意も守ります。
家庭用の殺虫スプレーや、台所の材料を混ぜた液を、登録農薬の代わりとして食用植物へ安易に使わないようにします。
使用後は、日付、製品名、対象作物、使った量や希釈、使用した場所を記録します。すぐに見た目が変わらないからと、表示の間隔や回数を無視して追加しません。
再確認するときは、虫が残っている部位と新しい被害を見て、必要なら作物名と記録を持って相談します。収穫可能な日も曖昧にせず、表示から確認しておきます。
よくある質問
黒い虫でも同じように確認してよいですか?
黒いアブラムシもいますが、黒い小虫がすべてアブラムシという意味ではありません。新芽や葉裏での付き方、体の形を確認し、分からなければ写真で相談します。
アリを減らせばアブラムシもいなくなりますか?
アリの往来は観察のきっかけにはなりますが、アリだけへの対処で解決したとは判断できません。葉裏と新芽に虫が残っていないかを直接確認します。
駆除後も葉が縮れたままです。失敗ですか?
傷んだ葉の形が元に戻らないことはあります。新しい寄生と新葉の状態を見て判断します。強い変形や模様が続くなら、虫以外の原因も相談してください。
参考資料・編集について
編集確認日:2026年10月21日。公的機関・公式の解説をもとに家庭菜園向けに整理しました。特定の地域の発生情報や制度を全国共通とはしていません。実体験の記録や効果の保証ではありません。
本記事の水彩挿絵には生成AIを活用しています。実際の栽培写真ではありません。作業の流れを示す図は、本文を読みやすく整理した模式図です。
今回の補足に用いた資料
参照確認日:2026年10月22日。海外資料の月や耐寒温度は日本の一律の作業基準へ置き換えていません。本文の既存参考資料も併記しています。

