ハーブ の育て方 / 読みもの図鑑
パクチーの育て方|種まき・とう立ち対策と葉・種の収穫
パクチーとコリアンダーは同じ植物。葉を長く採るためのずらしまきと、花を残して種を採る管理を分け、直まき・水やり・とう立ちを解説します。

BOTANICAL NOTE
パクチー(コリアンダー)の基本図鑑

- 学名と呼び名
- Coriandrum sativum。セリ科の一年草で、パクチー・コリアンダー・香菜は同じ植物の呼び名です。
- 育てる目的
- 若い葉を使う栽培と、花後の実をスパイスや採種用に収穫する栽培を分けて考えます。
- 始め方
- 根を乱しにくい直まきが基本。苗を使う場合は若いうちに、根鉢を大きく崩さず植えます。
- 光と水分
- 明るく排水できる場所で水切れを避けます。夏の葉どりでは昼の強い日差しと急な乾燥を見回ります。
- とう立ち
- 高温や乾燥で花茎が早く伸びることがあります。花茎の整理だけで永久に葉の収穫期を保てるわけではありません。
- 収穫と更新
- 葉は株の葉量を見て少量ずつ。採種株は成熟を待ちます。一年草なので、次の適期の種まきで更新します。
YEAR GUIDE
パクチーの年間栽培カレンダー
温暖地の春まきの一例です。4月に種をまき、若い葉を利用する作型に絞っています。
表は左右にスクロールできます。●は期間の目安、—はこの表で期間を示さない月です。
| 作業 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 春の種まき4月。発芽適温を確認 | — | — | — | ● | — | — | — | — | — | — | — | — |
| 若い葉の収穫5〜6月。草丈ととう立ちを確認 | — | — | — | — | ● | ● | — | — | — | — | — | — |
OATアグリオの春まき栽培暦を月単位で示しました。葉の利用と、花を咲かせて種子を採る作型は別です。採種まで育てる予定を葉どりの収穫帯へつなげていません。
秋まきも可能ですが、この表へ重ねていません。地域別の種袋表示を優先し、暑さで早くとう立ちした株は葉質を見て収穫を切り上げます。購入苗は根を崩さず、種まきとは開始時点が異なります。
月別表は「いつ」、次の既存4カードは「作業のコツ・株の状態による判断」を示します。
2026年10月22日確認:OATアグリオ「パクチー」春まき栽培暦 / トーホク「パクチー・コリアンダー」。資料の期間を月単位で整理しました。
季節・生育段階ごとの作業のコツ
上の月別表で時期を確認したら、次の4項目を手がかりに、実際の株の状態から作業を判断します。
日本の家庭栽培を想定し、春秋の地域別適期を種袋で確認する流れです。暖地の秋まきと寒冷地の春まきを同じ暦に固定しません。葉どりか採種か、実際の暑さ・乾燥・花茎の動きによって作業を選びます。
- 春|目的を決めて種まき地域の適期に少量ずつまきます。葉用と採種用の株を分け、発芽までは静かな給水で種床を乾かし切りません。
- 初夏〜夏|水分と抽苔を観察葉用の鉢は高温と乾燥を見回ります。強い昼の日差しを避ける工夫をし、湿った土へ水を足し続けないようにします。
- 秋|葉の収穫と次の播種株が十分育ったら葉を少量ずつ採ります。秋まきは地域の適期に行い、次の苗の生育を見ながら交代します。
- 冬|地域に合う保護秋まきの株は寒風・凍結に合わせて保護し、葉を残します。寒さで生育が鈍い株へ大量収穫や追肥を重ねません。
育てる前に確認すること
- この記事の対象
- Coriandrum sativum。パクチー、コリアンダー、香菜、シャンツァイは同じ作物の呼び名です。
- 向いている場所
- 日照と排水を確保した鉢や菜園。暑い時期は強い昼の日差しを避けられる場所。
- 生育の特徴
- 一年草。高温・乾燥で花茎が伸びやすく、同じ株から永久に葉を採ることはできません。
- 収穫の分け方
- 葉用は株に葉を残して収穫。採種用は花茎を残し、実が褐色になるまで育てます。
日本の家庭栽培を想定した目安です。地域・品種・鉢や庭の条件、実際の天候に合わせて調整してください。
GUIDE 01
パクチーとコリアンダーは同じ植物
葉を使う場面ではパクチー、種を使う場面ではコリアンダーと呼ばれることがありますが、別の作物ではありません。香菜やシャンツァイも同じ植物の呼び名です。
平たい葉のイタリアンパセリとは異なるため、種袋や苗の名前を確認して選びましょう。このページでは葉と種の両方を扱いますが、管理の目的を分けて説明します。
- 葉を使う若い株を少量ずつ育てる
- 種を採る花茎と成熟までの場所を確保
- 次へつなぐ適期の種まきを計画する
まずは葉を少量ずつ使うのか、花の後に種を収穫したいのかを考えます。葉だけが目的なら一度に大量にまくより、適期の中で少しずつ時期をずらしてまくと、若い株へ切り替えやすくなります。とう立ちは一年草が次の段階へ進む現象でもあり、花茎が出たらすべて失敗ということではありません。
鉢に札を付けるときは、植物名と一緒に「葉用」「採種用」と書いておくと、花茎が出たときに迷いにくくなります。葉を長く採りたい株と、花から実へ育てたい株では残す部分が違います。一鉢しか置けない場合も、葉を採った後に種まで楽しむのか、若い株へ切り替えるのかを先に考えておきましょう。
一年草という性質を知ると、季節が進んで花が咲くことを栽培の失敗だけで捉えずに済みます。ただし葉が欲しい時期にすべての株が花へ進むと、料理に使う量は減ります。
種袋に抽苔が遅いとある品種でも、暑さや乾燥の影響がなくなるわけではありません。品種選びと、適期内で時期をずらす播種の両方を使って考えます。
GUIDE 02
直まきと、種の姿の確認から
根を傷める移植を避けやすい直まきを基本にします。苗で始めるなら若いうちに、根鉢を大きく崩さず植え付けてください。
底穴のある鉢やプランターに、水はけのよい用土を用意します。庭でも雨の後に水がたまらない場所を選び、成長した葉の間に風が通るよう混み合いを避けます。
- 袋を読む加工・分割済みか確認
- 種を扱う必要な処理だけを行う
- まく根を乱さず育つ場所へ
市販の丸い「種」は硬い果皮に包まれており、軽く割ってからまく方法を案内する種苗会社があります。ただし、すでに分割された種や加工された種にも一律に同じ処理を加える必要はありません。
袋の説明を読み、強く押しつぶして中まで傷めないようにしてください。処理の有無よりも、手元の種の状態に合うまき方を選ぶことが大切です。
丸い種を割る案内は、手元の袋の種がどの状態かを確認してから使います。分割済みや加工済みのものに同じ処理を加えると、かえって扱いを誤ることがあります。無理に細かく砕かず、販売元の手順に従います。
種を準備したら、水はけのよい用土にまき、静かに給水できる道具も近くに用意しておきます。
直まきは根を触る回数を減らせますが、まいた後の混雑まで解決する方法ではありません。発芽したら葉が重なり過ぎないように間引きます。
残す苗を引っ張らないよう、根元をハサミで切って間引く方法もあります。種を多くまいたからと全苗を残すのではなく、葉を採る期間と、株を大きくして実を熟させる目的に合わせて余裕を取ります。
GUIDE 03
地域の適期に少しずつ、まき直せる量を
播種は春秋を中心に、種袋に示された地域別の適期を確認します。地域や品種、気温で変わるので、手元の種袋の適期を優先します。真夏にも春と同じように葉が育つと考えず、暑い季節はとう立ちが早まることを見込んでください。
種をまいた後は、発芽まで用土を乾かし切らないよう静かに水を与えます。
- 少量をまく使う量に合う株数で始める
- 次の苗適期内で播種日をずらす
- 交代花茎が伸びた株と区別する
芽が混み合ったら、残す苗の根を動かさないよう丁寧に間引きます。葉を継続して使いたい場合は、適期内で少量ずつ時期をずらします。
暖地の秋まきでは冬前に取りすぎず、株を育てる葉を残しましょう。月だけで判断するのではなく、暑さ、寒さ、苗の勢いを見て作業を調整します。
一度の播種でできる株数を増やすより、日付を分けた小さな区画を作る方が葉の収穫をつなぎやすくなります。札に播種日を書き、すでに葉を採っている株と、これから育つ苗を区別します。まき直しは一年中同じ間隔で続けるのではなく、種袋の適期内で行い、真夏や厳冬の生育を春秋と同じに見込まないようにします。
芽が出るまでの土は、水切れと水の停滞の両方を避けます。表面だけが乾きやすい場所では置き方も見直し、強い水流で種を動かさないようにします。発芽がそろわないときもすぐに掘り返さず、まいた日、温度、種の加工状態を確認します。
新しい苗が育つ前に古い株を全部片付ける必要はなく、収穫の切れ目を見ながら交代させます。
GUIDE 04
高温・乾燥を見ながら水を与える
生育中は水切れを避けますが、常にびしょ濡れにする必要はありません。鉢は表面の乾きと内部の湿りを見て株元へ給水し、受け皿の水をため続けないようにします。
高温や乾燥でとう立ちが早まることがあるため、強い昼の日差しで土が急に乾く場所では置き方を工夫します。暗い室内へ長期間しまい込むこととは分けて考えましょう。
- 日差し昼の強光と鉢の熱を確認
- 水分根のある土の乾きを見る
- 花茎葉の段階からの変化を観察
追肥は培養土に含まれる元肥と、使う製品の表示に合わせます。葉の色や伸びだけで肥料不足と決めつけず、根詰まり、過湿、日照不足なども確認してください。
花茎が伸び始めた株に肥料を多く与えても、永久に若い葉の段階へ戻せるわけではありません。次の株を用意することが、葉を使う栽培では重要です。
葉用の株を夏に育てる場合は、暑さを避けるために暗い場所へ閉じ込めないことも大切です。明るさを保ちつつ、昼の強い日差しや熱い風で鉢が急に乾く条件を和らげます。同じ棚でも端の小鉢と奥の大鉢では乾く速さが違うので、まとめて同じ量を与えるより鉢ごとに確かめてください。
花茎の伸びと、葉の水切れによるしおれを分けて観察します。水分を整えて葉が回復しても、すでに開花へ進んだ株がいつまでも若葉を作るわけではありません。葉の量が減ってきたら肥料を足して無理に戻そうとせず、次の株の生育を見ます。
採種用の株なら花を残し、その後も鉢の水分と倒れやすさを見回ります。
GUIDE 05
葉を採る株と、種を採る株を分ける
葉の収穫は草丈20〜25cm程度が目安の一つですが、株の大きさと葉の量を見て始めます。外側の葉などを少量ずつ採り、健康な葉を残してください。
葉用の株で花茎が伸びたら早めに整理する方法がありますが、とう立ちを永久に防ぐものではありません。花を残すと、上の方には細かく分かれた葉が見られるようになります。
種を採る株は花茎を残し、開花後の実が褐色に熟すのを待ちます。枝ごと収穫し、紙袋などで落ちる実を受け、風通しよく十分に乾かします。まだ湿ったまま密閉しないでください。
葉の収穫と採種を同じ株で無理に最大限行おうとせず、目的を分けると状態を追いやすくなります。

収穫を始める高さの目安には資料による幅があります。高さだけを満たしていても葉が少ない細い株なら、まず育てる時間を取ります。
外側の葉や使える枝を少量ずつ採り、次に伸びる健康な葉を残してください。数株から分散して採ると、一株だけが裸になるのを避けられます。収穫後は再び葉が増えるまで待ちます。
実を採る株は、花後すぐに全部を刈らず、実の色と成熟を見ます。褐色になった実をこぼしやすいので、枝を切る前に紙袋など受けるものを用意します。
収穫した実は十分に乾燥させ、湿りが残るうちに密閉しないでください。食用保存と翌年の播種用は容器を分け、名前と日付を記録すると使い道を取り違えにくくなります。
GUIDE 06
一年草の更新と、葉裏の見回り
パクチーは一年草なので、株分けを繰り返して長年維持する説明にはしません。花や種まで楽しんだ株は、次の適期の種まきへつなぎます。
採った種を栽培に使う場合も、成熟や保存状態によって発芽は変わるため、必ず芽が出るとは限りません。購入種の品種表示や栽培目的も確認しておきましょう。
- 株を確認一年草の生育段階を見る
- 種を管理品種と採種日を記録する
- 適期にまく古株と新苗を分けて育てる
アブラムシなどが新芽や葉裏にいないか、葉の傷みや土の湿りに異常がないかを見回ります。傷んだ葉を整理し、密集と排水を見直してください。
寒い時期は地域に合う保護を行い、収穫を控えて株の葉を残します。薬剤を使うなら、パクチーやコリアンダーに対応する適用作物の登録を確かめ、別の野菜用薬剤を未確認で使わないようにします。
次の株を育てるときは、前の株がどの時期に花茎を伸ばしたか、どの場所で乾きやすかったかを記録しておくと、播種時期や鉢の配置を調整できます。種を採れたことと、保存後にも同じ割合で発芽することは別です。購入種も自家採種の種も保存状態を確かめ、古い種の発芽を保証する説明にはしません。
葉の異常がある株では、まず新芽と葉裏を見て、虫や傷みの位置を確かめます。根元の湿りと株の混雑も一緒に記録すると、相談するときの手掛かりになります。
食用収穫の直前に自己判断で他作物用の薬剤を使わず、適用と収穫前日数を確認します。採種したい場合も、病気の疑いが強い株を無条件に次の種の供給元にしないようにします。
季節の作業を見渡す
温暖地の露地栽培を中心にした流れの目安です。寒冷地・高冷地・暖地、品種や栽培目的で変わります。種袋や苗の地域別表示を優先してください。
- 春
- 地域の種袋の適期に直まき。必要なら少量ずつ時期をずらす。
- 初夏〜夏
- 水切れととう立ちを観察。葉用と採種用を分け、高温期の無理な栽培を避ける。
- 秋
- 暖地では秋まきを検討。根付きを確認し、冬前に採りすぎない。
- 冬〜翌春
- 地域に応じて保護し、株の勢いを見て収穫。次の播種計画を用意。
よくある質問
コリアンダーの記事を別に探す必要はありますか?
同じ植物なので、このページで葉と種の管理をまとめて扱っています。別の独立記事として重複させていません。
花茎を取ればずっと葉が採れますか?
永久には採れません。一年草の生育段階を踏まえ、葉用は適期内のずらしまきで若い株へ更新します。
丸い種はすべて割りますか?
種袋の説明と種の加工状態を確認します。すでに分割・加工された種へ同じ処理を重ねず、割る場合も中をつぶさないようにします。
参考資料・編集について
編集確認日:2026年10月20日。以下の栽培資料を参考に家庭向けに整理しました。海外資料の月別日程や耐寒性は日本全国の保証として扱っていません。収穫量や結実を保証する記事ではありません。
本記事の水彩挿絵には生成AIを利用しています。実際の栽培写真ではありません。本文の図解は作業前の確認や判断の流れを示す模式図です。
今回確認した資料と適用範囲
RHSで学名、一年草、高温・乾燥による抽苔、直まき、少量ずつの播種、葉と実の収穫を確認。トーホクで種の扱い、根を傷めない間引き、草丈20〜25cmの収穫例を照合しました。タキイの既存リンクは今回接続未確認のため、そのページだけに依存する播種月を断定していません。










